ぽんのスッポンポンBLOG

日々の体感や疑問

島の音

〝マンハッタンの地下深くには、厚い巨大な一枚岩盤が広がっている。

高層建築の基礎杭はこの岩盤にまで達している。

マンハッタンで絶え間なく発せられる音は、まっすぐ垂直に下降していき、
この巨大な鉄琴を細かく震わせる。

・・・・整流された音は、今度は岩盤から上に向かって反射され、
マンハッタンの地上全体に斉一的に放散される。

この反射音は、耳鳴り音のようにも、低い気流のうなりにも、あるいは幻聴のようにも聴こえる。

そして音の中にある振動がひとびとの身体の中に入り、血液の流れとシンクロし、入っては引きを繰り返す。

この振動こそが、ニューヨークに来たひとびとをひとしく高揚させる。

なぜなら、この振動の音源は、ここに集う互いに見知らぬ人々の、どこかしら共通した心音が束一されたものだから。

こんな振動を放散している街は、アメリカ中、ニューヨーク以外には存在しない。

おそらく世界のどこにも。〝

 

ー「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一著・講談社現代新書

 

たしかルーリードが「マンハッタンが発する音が血肉となり俺のビートを形成した」みたいなことを言ってた。

ジョンレノンがニューヨークに住み着いたのもマンハッタンの音が好きだったからかもしれん。

 

一度ニューヨークに行ってその音を聴きたい。

耳だけでなく。

内臓で骨で皮膚で血で細胞でその音を聴きたい。

 

まずは今いる日本の音を全身全霊聴いてみよう。